江戸時代は幕府の息がかかっている人たちが絶大な地位と権力と強制力を持っていました。 江戸幕府の時代は幕府の命令が絶対であり、幕府に反抗しようという思想の持ち主はあまりいなかったはずです。 つまり幕府に使えていれば地位も権力も強制力も手に入れることが出来たというわけです。 そして現代の江戸幕府的存在は国家です。 この定義から行くと、国家の息がかかっている人たちが絶大な地位と権力と強制力を持っているという流れになるはずです。 しかし、ここで注目してもらいたいのはもう一つ両者に共通していることがあるということです。それはどちらも庶民からは嫌われている存在だということです。江戸幕府の役人や見廻組も、国家の政府や警察も庶民から愛される存在とはいえません。 しかし江戸時代と現代とでは決定的に違うところがあります。それは「国家に抵抗することが許されている」ということです。 江戸時代は幕府に反抗するとすぐに捕まってしまいましたし、反抗することを諦めている人がほとんどであったからこそ、庶民から支持を持たれなくてもよかったし、幕府の地位と権力と強制力は顕在し続けたのです。 しかし、現在は違います。庶民の支持がなければ国家は成り立たないし、庶民が反抗することも認められています。庶民が絶大な力を持っているといっても過言ではありません。 つまり、現在で絶大な権力を持とうと思うなら、国家の息がかかった職で力を、強制力を振るうのではなく、国家的強制力を使わずとも庶民から支持を持たれやすく、心理的に評価、尊敬や賞賛の高い社会的地位を手に入れることこそが現代において最も権力があるといえるだろう。
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